ヘビロテ躁鬱女
「今呑んでるから、後にして。そんなにくっ付いていたら和歌子も呑み辛いでしょう?」


後ろさえも振り返らず、ビールに口を付けては、テレビのチャンネルをコロコロと変えている。


まるで私はここにいないみたい。いつでも、こっちを見て欲しいのに。


「……店長いいな……幸せそうで。鉄平は結婚ってどう思う?」


手を解かず、耳元で囁いた。構って貰いたくって仕方なかった。


「結婚? 冗談でしょ、考えたこともないよ。そういうのは就職してからかな……想像もしたことなかった」
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