ヘビロテ躁鬱女
 ――コンコン。


木の扉が叩かれ、狭い空間にノックが響いた。


「はぁーい、今出ます」


「狂子。みんな食べ終わって、座敷で待っているわよ」


鍵を外し開けると衣舞が立っていた。


「ごめんごめん。今行くよ」


「鉄平がね、守も呼んだって」


衣舞は顔がほころび、頬を赤らめた。


「衣舞のお気に入りだもんねー! 良かったじゃん。彼女もいないしチャンスじゃない?」


藤咲守。鉄平とは仲が良く、2人は週4日勤務を入れ替わり出勤するようなシフトだった。


鉄平が小動物の小犬だとしたら、守は黒豹のようなクールな男の子だった。
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