ヘビロテ躁鬱女
 あんたのせい。


って言いたかったけど、今日はちょっとだけ違うかも。なにかが引っかかる。


なかなか取れない、喉に刺さった魚の骨のようだった。


「良かったら相談に乗るよ? 仕事ではキツイことを、ついつい言っちゃうけどさ……お前の頑張りは認めてるつもりだし、プライベートは優しいんだぜ?」


おちゃらけながら、微笑を見せた。


「嘘!」


なにそれ? 有り得ないし。急にキャラを変えないでよね!


「嘘ってなんだよ……本当だよ。ここの扉は重いから、ほら、開けているから通りな」 


「……ありがとう」


珍しく物腰が柔らかな、横溝の横顔を見つめた。
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