ヘビロテ躁鬱女
「取られても良いの?」


衣舞の表情を確かめると悩んでいた。


――仕方ないなぁ。遠まわしに周りから振ってみるか……。真の目的は守の真実か森園さんの情報を聞き出すこと。


「新庄さんって長く付き合っている彼女がいるんですよね。結婚するんですか?」


ワイングラスを掴み、飲み干した。ちょっとだけ酔っ払いを装う。本当の私は、お酒は強かった。


「なんだよーいきなりぃ! もう付き合って5年かなぁ。学生の時からなんだ。

大学を卒業して飲食業に就職したら、結婚したいと思っているよ。

そういえば店長もそろそろ結婚式でしたよね? 狂子は彼氏は?」


真っ赤な顔をして、彼女を思い浮かべながら話しているようだ。


「私はいないよ……彼氏は欲しいけど――っていうか、店長が結婚って初耳なんですけど」


急な展開に話がそれた。
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