ヘビロテ躁鬱女
「彼は病気持ちで仕事が長続きしないんです。それに両親も彼に、私に働かせろと言うので……

以前はキャバクラで働いていたんです。そのお金も、すぐに彼は使ってしまって……

子供も出来たし嬉しくって、今度は絶対に結婚出来ると思っていたんですけど、間違いでした。彼の両親は認めてくれませんでした――」


暗く俯いた愛子に言葉に出さなかったが、それぞれが同情の面持ちを浮かべていた。


「ごめんなさい。歓迎会なのに暗くしてしまって……でも私嬉しいんですぅ! 

今まで相談出来る人って、誰もいなかったんです! みなさんが良い人だったので、ついつい隠さず話してしまいました!」


愛子はグッとグラスを掴み、ゴクゴクと音を立てて、お酒を飲んだ。


「でも、あれだね、だから仕事が出来たんだ。物凄く覚えが早いもんね、きっと出世するよ。楽しみだ」


新庄は気を使い、しどろもどろに会話を繋いだ。
< 61 / 417 >

この作品をシェア

pagetop