ヘビロテ躁鬱女
「しかし酷い彼氏だなぁー。おんぶに、だっこか」


そう喋りだす輝も、お酒のピッチが進んだ。その言葉が追い討ちのように場が沈んだ。


「良いことを思いついちゃった! ここでお腹が一杯になったら、上のカラオケでストレス発散しようよ!」


手を打ち、和歌子が目を輝かせる。


和歌子は笑顔、笑いが好きな女だ。無理やり明るい方向へ変えたかったんだろう。


「いいねぇ! 行こう行こう! 関田店長の歌声も久々に聞きたいし、俺も新作歌っちゃう!」


鉄平もノリノリだった。


衣舞と私も顔を見合わせ、笑顔を作る。


「よーし! じゃあ早く食べて上に行こうぜ!」


輝の大きな声音に、みんなは勢い良く食べ始めた。
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