ヘビロテ躁鬱女
カラオケルーム
 思惑通り、関田店長に上手く支払わせた私達は場所を変え、上のカラオケにやって来た。


衣舞は愛子の話を聞いてから、少しだけ様子が変わった。お気に入りの守よりも、愛子に興味が移ったようだ。


「丁度10人部屋があいてるってさ。みんな、309号室へ行くぞ~!」


新庄さんは、いつも手際良く立ち回ってくれる。その声で後に続き、広めの通路を部屋を目指し皆で歩いた。


聞きなれた今時の音楽が流れており、時たま、数多い扉からは、人が大声で歌う音色や騒がしく盛り上がる声も聞こえた。


「ねぇ愛子さん。貴方の両親は、彼氏や妊娠のことを知っているの?」


「衣舞さん……それが知らないんだ。私は幼い頃、両親の離婚で養護施設で暮していたの。親のことは分からないし、知りたくもないの――」


衣舞と私はいつも並んで歩いていたけど、今は2人の背後に立っていた。
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