ヘビロテ躁鬱女
 鉄平に背中を押され疑問符が頭に浮かんだまま、カラオケルームに足を入れた。


先程と席の位置は殆ど変わっていない。愛子はさっきの話が本当だと思えるくらいに、関田店長の隣をキープしていた。


「狂子さぁん、和歌子さぁん、もうぉ~遅いですぅ! 皆さんのお酒とボトルは頼んでおきましたよ~」


愛子が奥の席から、子猫のような甘い声を発する。


――騙されてはいけない。


本能的が感じ取り、頭に過ぎった。


衣舞を見ると愛子の隣に座り、すっかり仲良くなっていたようだった。


「あたし、衣舞のとぉ~なり。狂子、たまに男性軍のほうに座りなよぉ~」


――もう! 和歌子の酔っ払い! ……男性軍?
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