ヘビロテ躁鬱女
 ――もう! なんでこうなるのよ! ストレス発散どころか頭がクラクラしてくるわよ!


テレビ画面に流れる文字達を見つめ、ワインを一気飲みしてはまた注いだ。


「狂子、お前凄い飲めるんだなぁ! 赤ワインって飲んだことないんだけど美味しいの?」


輝が笑いながら話し掛けてきた。


「美味しいですよ。飲みますか?」


無表情で言葉を返した。


「ちょっと待って、グラスの中身を空けちゃうから!」


笑顔でそういうと、ぐいっと飲み干し、空のグラスをこちらに向けた。


なにこいつ……いつもと全然違うじゃん。にっこりしちゃってさぁ――。


ワインを注ぎ、ボトルをテーブルにガンッと強めに置いた。どうせ音がうるさいし、周りには聞こえないと思ったからだ。


輝への面倒くさいよ、それ。というアピールのつもりだった。
< 71 / 417 >

この作品をシェア

pagetop