ヘビロテ躁鬱女
 そんな私を助けることもなく、クラクションがプープーと2回鳴った。まるで嘲笑っているように聞こえた。


遠ざかるエンジン音に、ふぅーと大きな深呼吸を繰り返す。


――まさか、あんな真面目な新庄さんに告白されるとは思っても見なかった……


心臓がトクトクと早くなる。でもこれは好きとは異質なものだった。


明日から、いや、今日からどうしようの、悩みの鼓動だった。


なにも考えたくない。愛子も新庄も鉄平も……。


やっと鍵を手探りで探し当て、ドアノブをゆっくりと回した。
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