ヘビロテ躁鬱女
 ――鬼黄泉、鬼黄泉、鬼黄泉……。


なぜ、いつも鬼黄泉ばっかりが可愛がられるんだろう。だったら生まなきゃ良かったのに……。


捻くれた考えに囚われそうになる。


将来私はどうなっていくんだろう? 若い私は、なにも見えなかった。ただ分かるのは、この家にいつまでも暮していたら、鬼黄泉より幸せになれる気がしなかった。


「家に居づらくさせているのは、お父さんと鬼黄泉のせいでしょう? なにを見習うの? 

お母さんは、なにも分かってない……仕事に行くわ」


怒りに任せて、冷蔵庫にペットボトルを放り投げた。


「そんなに家が嫌なら結婚したらどう? 出れるわよ? うちは貧乏だし、良いかもね」
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