ヘビロテ躁鬱女
 家に居ると、どうも心が落ち着かない。そう思った私は普段よりも早く仕事に向かった。


――母親も嫌い! 家族が嫌い! 新庄さんも嫌いになりそう!


それでも気持ちは収まることはなく苛立ち、むしゃくしゃしている。小石を見つけては蹴飛ばし、店に向かった。


エレベーターが3階に止まり、ノレンを潜ると、レジには店長と愛子が待機していた。狭い空間に2人で、なにをしているのかとハテナマークが浮かぶ。


「あれ? 店長も森園さんも早いですね。おはようございます……」


関田店長はすぐには答えず、妙な沈黙を作った。おかげで変な雰囲気が辺りに漂った。


「おはよう。ごめん……突然だけど、これから早番は愛子さんが3日で狂子は2日で良いかな? いきなりで悪いんだけど、お金が必要という話だからさ」
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