【完】結婚からはじまる恋《2》
ACT12*危機一髪

ー深幸side-

* * *

私は大江弁護士の執務室に入った。


「ようやく…来たか…待ちくたびれたよ…奥様」


「帝…さん?」


帝さんの口には黒いハンカチが押し込まれていた。両手は後に回され、手錠で拘束されている。



「んんっ・・・」


帝さんは私に何かを訴えているけど、言葉にならない。

強面の黒尽くめの男が暴れる帝さんの鳩尾に蹴りを入れる。


「うぐっ」

帝さんは眉間にシワを寄せて痛みに耐えた。


「帝さんに乱暴しないでください・・・」


「それは奥様次第ですよ…さぁ~ここに座って…」



大江弁護士はこの緊迫した雰囲気に動じず、逆に楽しんでいた。




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