【完】結婚からはじまる恋《2》
パーテーションで仕切られた空間で思い思いにみんな…仕事に励む。



弁護士をサポートする弁護士秘書や弁護士事務と呼ばれる仕事をする事務員たちの多さに驚いた。



これだけ多くのスタッフを抱え、銀座の一等地に事務所を構える大江弁護士は有能な弁護士なんだと思った。




「・・・深幸ちゃん?」



薄い銀のメタルフレームを付けたダークブラウンのスーツの男性とすれ違った。


彼の襟元には弁護士の証の金の向日葵バッチ。



彼は私を知っていた…




「俺だよ。俺…帝だよ」


「帝…さん?」


故・栗原さんが誰よりも期待を寄せていた私と同じ施設出身の高井田帝。


弁護士になったコトは訊いていたけど・・・
大江弁護士事務所で働いていたんだ。



「…高井田弁護士…」



受付嬢が彼を睨んだ。



「・・・またね…深幸ちゃん」



帝さんはそのまま、オフィスの外に出ていった。




彼は栗原さんの愛人の子供だと施設の人たちは噂していた。それくらい、彼は顔が似ていて聡明だった。


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