【完】結婚からはじまる恋《2》
一番奥にある大きな茶色の両扉の部屋が大江弁護士の執務室。



「お久しぶりです…」



「…お久しぶりです…」



大江弁護士は60歳で還暦を迎えたばかりの初老の弁護士。

死んだ先代の社長が大きな信頼を寄せるやり手らしい。



私たちは向かえ合わせに黒の革張りソファに座った。




「お呼び立てして申し訳ない。奥様」




「主人に内密な話とは何ですか?」



「緊急を要する話で…」




大江弁護士の声が少しくぐもった。








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