萬処御伽屋覚書〜着物男子と残念女子のゆるゆる繁盛記〜
「まあ、何とかやってるよ。なんだけど、実はちょっと仕事辞めちゃってさ……」
「あら大丈夫なの?次の仕事とかちゃんと考えてる?」
「それなんだけど、今住んでるアパートの更新も近いから
一回そっちに帰ってから仕事探そうと思ってるんだよね」
「えー、それはちょっと無理よ」
「そう無理……え、む、無理??」
私は我が耳を疑った。母は驚く私に気付くことなくしゃべり続ける。
「いやね、すっかり知らせるの忘れちゃってたんだけど、
うち、2か月くらい前から美紀達と同居になったのよ」
美紀は私の妹。4つ下で去年、同じ会社に勤めていた人(イケメン)と
結婚して、半年前に子供を産んだ。
確か、年始に実家に帰った時にそんな話があがっていたような気がしていたが
こんなに早く実現しているとは思いもよらなかった。
「だから今、あんたが使ってた部屋空いてないのよねぇ。使用中」
「使用中……?」
「そう」
ビックリする程のタイミングに驚き、現実かどうかを確認したくて
このやり取りを何度も繰り返した。
……因みに五回目で母に怒られ電話を切られた。
「あら大丈夫なの?次の仕事とかちゃんと考えてる?」
「それなんだけど、今住んでるアパートの更新も近いから
一回そっちに帰ってから仕事探そうと思ってるんだよね」
「えー、それはちょっと無理よ」
「そう無理……え、む、無理??」
私は我が耳を疑った。母は驚く私に気付くことなくしゃべり続ける。
「いやね、すっかり知らせるの忘れちゃってたんだけど、
うち、2か月くらい前から美紀達と同居になったのよ」
美紀は私の妹。4つ下で去年、同じ会社に勤めていた人(イケメン)と
結婚して、半年前に子供を産んだ。
確か、年始に実家に帰った時にそんな話があがっていたような気がしていたが
こんなに早く実現しているとは思いもよらなかった。
「だから今、あんたが使ってた部屋空いてないのよねぇ。使用中」
「使用中……?」
「そう」
ビックリする程のタイミングに驚き、現実かどうかを確認したくて
このやり取りを何度も繰り返した。
……因みに五回目で母に怒られ電話を切られた。