萬処御伽屋覚書〜着物男子と残念女子のゆるゆる繁盛記〜
どうしよう……

通話を終えると冷や汗がふきだした。


つまりはあと一ヶ月で新しい仕事先と、引越し先を見つけないといけないというわけで……




「出来るわけがない!!」



私は無意識のうちに叫んだ。
想像してみて自分の能力を考え、脳内でプランニングした結果だった。


けれど、だからといって何もせずにいたって勿論何も変わらない。

美紀の同居の話は前から出てたこと。頻繁に実家と連絡をとらなかった私にも非はある。

今更文句を言ったって仕方がない。


とにかくは冷静になって、明日から就活を始めよう。


どれくらいの収入があるかによって、新しい住まいのグレードも変わってくる。

残された一ヶ月の半分で仕事を見つけよう。
半月あれば住まいは契約から引っ越しまで余裕で出来るはずだ。


あれこれと前向きに計画を立ててみると、さっきは出来ないと思ったが、ひょっとすると案外可能かもしれない。

おめでたい。良く言えばポジティブな私の脳みそは、そんな楽観的な結論にたどり着いた。


ああホント、出来ることならこの時の自分のもとに行って怒ってやりたい。
現実はいつだって、そんなに私に優しくなかったでしょって。
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