萬処御伽屋覚書〜着物男子と残念女子のゆるゆる繁盛記〜
そんなポジティブプランニングから二週間。

私は敗北感で胸がいっぱいだった。


面接全敗。


面接に取り付けないことも多々あった。
ひょっとして集計したら後者の方が多いかもしれない。



冷静に考えれば


三十代


履歴書に胸はって書けるような資格はなし


職種は事務系


こんな条件じゃ、わざわざ採用しようという企業なんてまずない。


自分でもよく分かってる。


ああ……どうしたらいいの?


今日もまた何の収穫もないまま、私はハローワークを後にした。


肩を落として帰る家路。


すれ違うピシッとしたスーツを着た男女を見る度に羨ましく思った。

ちょうど多くの会社の定時となる時間にオフィス街を歩いていたので、そんな人達を幾人も見た。


それに対して私はと言うと、片手に会社資料の入った封筒。
もう片手にはスーパーの買い物袋。


少し前までは自分もあちら側の人間だったのに。


胸が痛い。


無意識にため息がこぼれた。

< 7 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop