【完】春紫苑
あれは、四年前。
私たちはまだ中学二年生だった。
「美琴ー、あと終令だけだから一緒に帰ろうぜ」
「うん、分かった。じゃあ、ここで待ってるね」
専門委員会が終わり、帰ろうとしていたら将光に声をかけられた。
久々にみるトレーニングウェア姿に一瞬ときめいたのは秘密。
「ダッシュで着替えて、終令もダッシュで終わらせてくるから!」
「うん分かった……って、はや」
将光は私の返事も聞かずに部室まで走っていってしまった。
てか、着替えるのはダッシュで出来るけど終令は無理でしょ……。
部長でも顧問でもないんだから。
将光はバスケ部。
バスケ部の顧問の先生、話長いんだよな……。
時計を見ると六時ちょうど。
せめて、六時半には終わってほしいな。