【完】春紫苑





「遅い。遅い遅い、遅すぎる!」






時計は既に七時を示していた。


何がダッシュよ!



もう帰ってやろうか、そう思ったけど暗くなった外を見て断念した。






「ごめん、美琴!」





全く悪気のない笑顔で将光がやって来たのは、それから三十分後のことだった。





「何がダッシュよ!これがダッシュなら足遅すぎ!バスケなんて辞めれば?」


「えー、そんなこと言うなよ美琴。寂しかったんだよな、ごめんごめん」






そうやって優しく笑うから。


つい、許してしまうんだ。


将光はズルいよ。



もう、怒れないじゃない。





「もう、帰るよ」


「おうっ!」










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