【完】春紫苑
「お父…………」
ハハハハと中から豪快な笑い声が聞こえた。
来客中かな…?
そっとドアに耳をあて、中を伺った。
「だから、大丈夫だと言ったじゃないか」
「私を誰だと思っているのかね」
しかし、いつまでたってもお父様以外の声は聞こえない。
なら、通話中か…。
…待つか。
そう思って、ドアから離れようとした私の耳に聞こえた言葉は。
「隆弘のやつ、認めるとは思っていたがあっけなかったな。やってもいないくせに一体どんな尋問をされたんだ」