【完】春紫苑
…………………なに。
なに、なに、なに、なに。
あっけなかった。
やってないのに。
どういうこと………?
隆弘さんのこと、お父様は何か知ってるの?
───既に手は打ってある。
私の頭を過ったのは昨日のお父様の言葉。
背筋をひんやりとした汗が伝う。
視界が涙で歪んでいく。
体が震えだす。
嘘でしょ、違うよね。
ねぇ、違うよね?
頭のなかで何度問いかけたって答えなんて返ってこなくて。
言葉にならない思いは
受け入れられない現実か
それとも
将光への罪悪感なのだろうか。