【完】春紫苑
「そうですか……でも、これで全て結び付きます。
由季さん殺したのは、やはり吉野で間違いないでしょう。以前から会長に奥さんと別れてくれなきゃ、奥さんを殺しちゃうよ、だなんて殺害を仄めかしていましたからね。
由季さんは、会長に吉野がつきまっとてたなんて知らなかっただろうし、橋月会長の秘書だということも知らなかったと思われます。
だから、楯野財閥の者と名乗って家に上がり込んだんでしょう。……………由季さんを、殺すつもりで」
この後は容易に予想がつく。
吉野はお父様にそれを打ち明けたのだろう。
そして、これが公になれば橋月グループの株の下落は間違いなく、かなりの損失を受けるはず。
下手をすれば倒産しかねない。
だからお父様は………隠蔽したんだ。
真実を闇に葬った。
自らの利益のために親友を裏切ったんだ。
警察の方に手を回して……我が父親ながら言葉を失う。