【完】春紫苑
それでもクラスメートは残酷な言葉を私たちに突き付けてくる。
ナイフと化した言葉を深く深く私たちの心に突き刺してくる。
「橋月、いくら彼氏だからって殺人犯の息子庇うって、どうなのさ」
冷たく、バカにした言葉。
矛先は私にも向かい始めた。
…仕方がない。
私は罰を受けなくてはいけないから。
こんなの、将光の心の傷に比べたら何てことない。
私は、大丈夫。
将光を守るって支えるって決めたから。
でも、将光は
「ふざけんな、てめぇっ!!」
私に矛先が向いたことを許さなかった。
ガンと鈍い音が響き、一人の男子の体が吹っ飛ぶ。
「俺のことは何とでも言え!!!でもな、美琴を…美琴を傷付けるのは絶対に許さねぇ!」
吹っ飛んだ男子の上に乗っかり、殴り続けながら叫ぶ将光。
悲鳴をあげることもせず、ただ、誰もがその光景に立ち尽くしていた。