【完】春紫苑
学校が終わり、放課後になると将光のもとへ駆け寄った。
「将光、帰ろっ!………って部活、か」
「あぁ、いや今日は休ませてもらうことになってる」
「そっか」
将光が席を立つだけでビクンと反応するクラスメート。
その姿はライオンに狙われた小鹿ちゃん。
酷く滑稽だ。
朝の将光の言葉がよっぽど効いたのだろう、あれから誰も将光や私に非難の言葉を浴びせる人間はいなかった。
それどころか、誰一人話しかけてこなかった。