【完】春紫苑






「追想の………愛」





その後に「まだ、過去には出来ねーかな」と小さく呟くと、将光は黙ってしまった。




追想………の愛。


誰にも知られないように、気付かれないように…思い出す過去の愛。



そうだよね、まだ過去になんて、思い出になんて………出来ないよね。





「今日って………いつだっけ」


「6月………5日?」


「そっか………母さんが死んだのが………2日だから…まだ三日しか経ってないのか」




まだ………三日。

なのか

もう三日なのか。




私にはよく、分からない。


大切な人がいなくなっても変わりなく流れる時間に回る地球に戸惑って。


なんだか取り残されてるみたいだった。






将光、この時、何を考えていたの?


何をどう考えて、将光は。


その結論に辿り着いたの?


自分を偽って他人を傷付けないと生きられないほどに貴方は追い詰められていたの?




なら、私は。

全てを話すべきだったのかな?










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