【完】春紫苑
「俺は、殺人犯の息子だから何するか分かんねーって言ったよな?」
意味深に微笑む将光には、狂気しかなくて。
この人は本当に将光なのだろうか?
ただ、疑うばかりだった。
「将光………」
貴方は…何がしたいの?
私の声に気付いてるはずなのに、こっちを向こうとしない。
その目は夏目たちに向けられたまま。
───この日から。
将光は作り笑顔さえも浮かべなくなった。
震え、弱さをみせることはなくなった。
何を考えているのか分からなくなった。
毎日、誰かを傷付け…まるでそれが生き甲斐かのように。
私の好きな将光が………
どこかへ行ってしまった。