【完】春紫苑
私を呼ぶ声に動きが止まる。
振り向かなくたって、この声が誰なのかくらい簡単に分かる。
でも
「……将光…」
まさか、こんなところで会うなんて。
「何で美琴がこんなところに……ってお前、まだ制服じゃねーか!」
「将光だって制服じゃない」
そこまで言って、ふと思った。
あれ、私……普通に話せてる?
昔みたいに…私たち……話せてる?
「俺は良いんだよ…でも美琴は風邪引いたらどうすんだよ…」