【完】春紫苑
「何で……そんなこと言うのよ……」
「何で……って」
「何で昔みたいなこと言うのよ…心配なんてしないでよ…」
口から出るのは何故か、思ってもない言葉。
何で私、こんな事を言ってるの?
「………ごめん」
どうして、将光が謝るの……。
いつでも、そう。
将光は……貴方は何も悪くないのに、私にはいつでも謝る。
私には、申し訳なさそうに謝る。
謝らなきゃいけないのは私なのに。
私なのに………。
将光、そんなところは変わらないんだね。
優しい将光は、確かに彼のなかにいた。