【完】春紫苑
ぐるぐると頭を回る、よく分からないお祖父様の言葉。
もう私は携帯を握るだけで必死で。
言葉を発することすら臆する状態だった。
「美琴、変われ。もしもし、ご無沙汰してます、将光です」
私の異変を察した将光に携帯を奪われた。
携帯を取られた私は、ただ項垂れてお祖父様の言葉を頭のなかで繰り返すだけ。
頭が痛い、重たい。
吐き気さえも覚えるこの感覚を
───私は、知っている。
「分かりました、今から向かいます、はい、失礼します」