【完】春紫苑




空になったカップを見て、ふと思った。


将光、携帯鞄のなかだったらどうしよう?



そしたら私、ずっと待ちぼうけ?



何が起こってるか分からないまま、ひたすら待つの?





得たいの知れない恐怖を抱いたまま、ずっと待つの?






電話してみよう、かな。



そう思っても



"振り返んじゃねーぞ"



将光の言葉が、顔が。


何だか、許されない気がして、



躊躇ってしまう。









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