【完】春紫苑






「……ま、さ…みつ………」






真っ赤な海に浮かぶ、将光が。


上手く声がでない。


喉が締め付けられてるみたいに、声が、言葉が出てこない。



瞬きをしなくても、勝手に涙が溢れてきて目の前の状況が霞んで見える。


涙を脱ぐったら、目の前の光景は変わって見えるのだろうか?



近付きたいのに、駆け寄りたいのに、触れたいのに。


体が動かない。


足が地面に張り付いてしまったように一歩を踏み出せない。








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