【完】春紫苑






「両親のいない将光は、美琴しかいないんだぞ?それなのに、自ら将光のもと離れようとして、どうするんだよ?」



「………っ」




「将光、そんなことになったら、どうしようもないほど自分を責めるじゃねーか。それくらい、分かるだろ?」




「……もう、分かんない…分かんないよ…」





どうしたら、将光のためになるか。

この苦しみをどこにぶつけたらいいか。


何もかも分かんない。





「私、将光の家に行ってくるね。戻ってきたら、将光は迎えてくれるよね?何やってたんだよ、遅いって言ってくれるよね?」



「……………あぁ」





駿は優しく微笑んだ。


だから、私も無理矢理笑顔をつくった。














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