【完】春紫苑
意味もわからず二度微笑まれ、それがあまりにも不気味だったこと。
あのこの放つオーラはただならぬもので絶対に近づくべきではないと。
そしたら、この反応。
流に至っては殴りたい。
「恐ろしいとか言ったって、所詮女だぜ?俺らが負けるとでも?美琴は心配しすぎだっつーの」
将光はまた、呆れたように笑う。
私の思いなんて全く届いていないようだった。
違う、違うよ将光。
そんなんじゃないの。
私が言いたいことは、違うの。
そんな簡単なことじゃなくて。
もっと複雑で…………
「分かるかも…俺。…美琴の言いたいこと…」
考え込んでいた駿が口を開いた。
「俺もあの女フツーじゃない気がする。力とかいっても怪力とか、そういう事じゃなくて…………
怨念とか何かそういうヤバイ感じがする」
「駿…っ!!私もそう思う!!」
さすが駿。
やっぱり違うよ、駿は。
駿に伝わり感動していると
「怨念って!!二人ともどうしちゃったのさ~?」
またまた、流が笑いだした。
流は笑うだけで全く理解してもらえない。
そろそろ、殴ってもいいだろうか?
「二人とも変だよ~?ねぇ将ちゃ……将ちゃん?」
そんな流と対照的に将光の顔は険しいものへと変化していた。