【完】春紫苑






「はいっ!」





そう言って私は部屋を飛び出し、将光の病室へと走った。
















「あれ、いない…?」



勢いよくガラリと音をたてて開いたドア。

その音は静かな病室に虚しく響いた。





そこにいたのは、よく分からない管のようなものをつけて眠る将光だけだった。



将光に近付き頬に触れる。





「……よかっ、た。ちゃんと…温かい」





ちゃんと、生きてる。


将光?


今度は私が守るから。




守ってみせるからね…。




少し名残惜しさを感じながらも将光から離れて、私は病室を出た。











< 448 / 474 >

この作品をシェア

pagetop