【完】春紫苑
「はいっ!」
そう言って私は部屋を飛び出し、将光の病室へと走った。
「あれ、いない…?」
勢いよくガラリと音をたてて開いたドア。
その音は静かな病室に虚しく響いた。
そこにいたのは、よく分からない管のようなものをつけて眠る将光だけだった。
将光に近付き頬に触れる。
「……よかっ、た。ちゃんと…温かい」
ちゃんと、生きてる。
将光?
今度は私が守るから。
守ってみせるからね…。
少し名残惜しさを感じながらも将光から離れて、私は病室を出た。