【完】春紫苑
私が聞いた瞬間、明らかに将光の表情が曇った。
「そんなの美琴には関係ないだろ」
たったそれだけ、ぶっきらぼうに言うと突然立ち上がった。
「将光…どこ行くの?」
「…………」
恐る恐る聞いてみる。
だけど将光は、私の目すら見ることなく、そのまま屋上を去っていった。
私が何も言えずにいると
「ちょっ、将ちゃん教室戻るの~?なら俺も連れていって~」
流も立ち上がり将光の後を追いだす。
「あ、そうそう」
流はそう言うと可愛く回って私を見た。
「………?」
私が訳が分からないでいると
今度は可愛くウインクして、
「将ちゃ~ん!!!」
と再び私に背を向けて走っていった。
"将ちゃんは俺に任せて"
多分、そう言う意味。
流は何も考えていないようで考えてる………はず。
まあここは流に任せよう。