【完】春紫苑
最終章 春紫苑~Epilogue~
「高校も卒業して、あの日からもう、六年なんですね」
私はお墓参りに来ていた。
私が見つめる先にあるのは楯野家のお墓。
「私、弁護士になるために勉強してるんです。弁護士になって、隆弘さんの無実を証明してみせますから…だから由季さん安心してくださいね」
その時、ふわりと優しい風が吹いた。
「ふふ…分かったってことかな?」
あれから季節は過ぎ、私は無事に大学進学を果たし、今は弁護士になるために猛勉強中。
そんな日々に嫌気がさすこともあるけど、私は絶対に夢を叶えて見せる。
ふと、時計を見た。
11時49分。
あれ……おかしいな。
「由季さん、私、ちょっと行ってきますね」