【完】春紫苑
「将……」
「あぁぁぁっ!!!!」
突然大声を出した将光に驚く。
同じように驚いた流が、思わず将光から離れる。
そして、その隙を狙っていたかのように将光は走り出した。
「将ちゃん!!!」
何、また私の前から逃げる気っ?
「おい、将み…おわっっ!!!」
まだドアのところにいた駿が止めようとしたけど、将光は止まることなく強行突破していった。
逃がさない、絶対に。
体をドアの方へ向け、走ろうとした瞬間……
何かが私の動きを止めた。