【完】春紫苑



誰かが私の右腕を掴んで抱き締めた。






「大丈夫?美琴」







慣れない温もり。


耳元で囁かれる、いつもとは違う声。


わたしはとっさに流に抱きしめられていた。







「え…あ、うん」






よく見たら城野さんの腕も離れていた。






「ありがと……流」


「え、あ…あぁ。てか、ごめん…」







私がどうして良いか分からずにいると、それに気付いた流がそっと離れた。


安心したのも、つかの間。












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