【完】春紫苑
突然、背後から大きな音がした。
いくら窓越しに見ていたからって大きな物音がすれば体は驚く。
この光景に慣れても驚きや恐怖はいつまでも慣れないから不思議だ。
今の大きな物音は、彼が椅子を蹴った音。
彼というのは、楯野 将光(たての まさみつ)。
今、眼鏡くんを囲む三人の中では……いや。
このクラスでトップ的な立場にいる支配者。
そして私、橋月 美琴(はしづき みこと)の彼氏。
中一の春からなので、付き合って5年目になる。
これが短いのか、長いのかは分からない。
付き合ってると言っても、カップルぽい思い出なんて数えられる程度。
私の片想いな気がしてならないのは、考えすぎだろうか?