暗闇の鎌【読みきり短編集】
 僕が眠れなくなったのはいつだろう。


ランドセルを背負って、家に帰ってきたら変な声を聴いてからかなぁ。眠れなくなったのは。


ママが苦しそうで、今まで聞いたことがない声だったから。


昼間その声を何度か聞いて、今度は男の人が家に泊まるようになっていった。


ぐっすり眠れていた、あの夜が嘘みたいに、まぶたを閉じても閉じても、頭にたかるハエのようにあの声が邪魔した。


大好きだったママの声のはずだったのに……。


なぜなんだろう?
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