暗闇の鎌【読みきり短編集】
 ――コンコン。


ノックをしてドアノブを回した。


「どうしたのたっくん?」


「明日僕……んと、朝、みんなで残りのケーキを朝ごはんとして食べたいな! ダメ? 僕、今夜は悪いことしちゃったみたいだったから……ママ許してほしいな……」


「なーんだそんなこと? 悪いことなんてしてないよ? たっくん」


良かった。いつものママだ。


そしてベットの横にいるおじさんも微笑んでた。


これでいいんだ。僕は間違っていない。


「おじさん……僕のパパになるのかな? それだったら明日の朝はケーキでお祝いだね! じゃあ僕、もう寝るね。おやすみ」


「たっくん! なんだよーそんなふうに言ってくれるなんて! おじさん泣けてきちゃうよ! ……おやすみ」


おじさんはママより、えびす顔だった。


そんなに嬉しいことなんだ。ナイフは隠した。よくわからなくなった。
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