暗闇の鎌【読みきり短編集】
 朝起きると昨日の約束通りに、焼いた食パン、カリカリのベーコン、目玉焼き、そしてその隣にケーキがおいてあった。


僕はそれを見たとき、顔が思わずほころんだ。


先に座っていたママもおじさんもそんな僕を見ると笑顔になった。


三人でケーキを大きな口でむしゃむしゃとほおばり、笑いながら食べる僕たちは、これが絵本によく出てくる幸せというやつなんだぁと思った。


「たっくん、美味しいかい?

おじさん、朝からケーキを食べるなんて初めてだよ。でもいいもんだね、朝から甘いものも。

たっくんの笑顔から力を貰ったよ。今日も元気に仕事に行けそうだ」


「おじさん! 本当? 僕、おじさんならパパでもいいな!」

「まぁ、たっくんたら! ふふふっ」


僕がそういうと、おじさんはますます微笑んだ。


そしてママは玄関から、おじさんを見送り、会社へと送り出した。


僕は思う。


あのおじさんだったら、今までの男の人と違い、ずっと一緒にいてくれるかもと。
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