暗闇の鎌【読みきり短編集】
 僕はナイフでママの背中を思いっきり刺した。


これは僕らの幸せのため、証しなんだ。


おじさんに大好きなママを半分こして渡せば、きっと僕のパパになってくれるはず。


これでみんな幸せ、みんなずっと笑顔。


「たっくん、やめて!!!! なにするの!!!!」


ママの顔が鬼のように変化した。


おかしいなぁ、僕はママのためを思って……ああ、力が足りなかったんだきっと。


ナイフに体重を乗せ、深く深く突き刺した。下へ下へとナイフを徐々に動かしていく。チョコレートより、どす黒い、ブルーベリージャムがボタボタとたれた。


ママの足元はあっという間にジャムの湖になっていた。


ママはずり落ち、ジャムの上に座り込んだ。


「おじさん、ごめんなさい。チョコレートじゃないけど、きっと喜んでくれるよね? 僕ね、沢山笑うから、笑顔でいるから許してね」


――今日の夜は楽しみ! きっとパパになってくれると言ってくれるはず! 早くおじさん帰って来ないかな。

大好きな人には大好きなものを半分こ。僕はこれからも、ずっとずっとイイコでいるね。
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