暗闇の鎌【読みきり短編集】
 ――ちきしょう! なんだよあれ……大好きなエルシィちゃんが見れないじゃないか!


脳内ではアイドルクループと物騒な目玉が天秤に乗り、量りにかけていた。


恐怖と愛――暫くグラグラと左右に揺れていたが、結局どちらが勝つこともなく、この日はいつの間にか朝を迎えた。


「やべー! あのまま眠ってしまったのか……変な体勢で寝ていたから全身が強張ってるぜ。

風呂に入りたいけど、目玉は消えたかなぁ。家賃は安くて良いけど、幽霊は勘弁してくれよぉ……」


――ひとーつ……ミテル……


「な、なんだ、今の……誰の声だ……?」
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