暗闇の鎌【読みきり短編集】
 ――ふたーつ……ズットミテル


「……目玉野郎が喋っているのか?」


――ふたーつ……ズットミテル


「ああ、うるせーな! 起きるよ! 起きりゃいいんだろう! 

うわああああ!!!!」


歯を食いしばり、力を込め、思い切って布団を跳ね除けた。


「眼がふ、二つに増えている!」


畳に現れた物体は二つ並び、人間の目のようになっていた。一つでも十分なほど身震いするのに、二つになると、まるで人がそこにいるようで更に背筋が凍りついた。


「なんなんだよ一体!」


――ふたーつ……ズットミテル……
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