暗闇の鎌【読みきり短編集】
「オジイサン分かるの? そうなの。実は、君と僕は赤い糸で繋がっているとしつこく言う、別れてくれない彼氏がいるの」


なにかの縁なのかもしれない。


そう思うとテーブルの前の丸椅子をそっと引き、腰を掛け、いつの間にか相談話を切り出した。


「赤い糸? 古臭い言い回しの男じゃな。手相を見せて御覧なさい」


「鑑定料はいくらですか? ……高額だと困るの、あの……手持ちがあまりなくて」


「料金は当たっていると核心を得た時で構わない。高額でないので安心しなさい」


老人の言葉を信じ、手の平をテーブル上に置いた。するとオジイサンは微笑み、そばにあった虫眼鏡を取り出した。レンズを覗き込み、眼をまんまると見開いている。


「……やっぱり恋愛運ないですか?」
< 4 / 118 >

この作品をシェア

pagetop