暗闇の鎌【読みきり短編集】
 ――鏡が喋ったの?


もう一度じっくりと鏡を覗き込んだ。頬のあたりで動く影がある。


――だ……誰?


「お前の未来を見せてやるって言っているんだよ!!!!」


「……ぐふっ――ゲホッゲホッゲホッ」


背中や胸に痛みが走り、鏡の中の私は血塗れの女王に変身を遂げた。


それとも吐血のせいで鏡が赤に染まっただけなのか――?


閉じようとする眼をもう一度大きく見開いた。
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