暗闇の鎌【読みきり短編集】
この血に濡れた指先も、爪も足も体全部が敦志のものだったのに、私を裏切っていたのね。
――ズルイ男。
「はぁ……今の私、とっても綺麗」
「……く、狂ってる! あんたどうかしているんじゃなの? 鏡ばかりを見て、私が怖くないの!?
こんな女だったら、なにもしなくても敦志は帰ってきたかもしれないわね……
ごめんね敦志――さようなら」
――脇役はいつだってほえてばかり。
うるさいわね。消えて……
ああ、なんだか手が痺れているみたい……
――ズルイ男。
「はぁ……今の私、とっても綺麗」
「……く、狂ってる! あんたどうかしているんじゃなの? 鏡ばかりを見て、私が怖くないの!?
こんな女だったら、なにもしなくても敦志は帰ってきたかもしれないわね……
ごめんね敦志――さようなら」
――脇役はいつだってほえてばかり。
うるさいわね。消えて……
ああ、なんだか手が痺れているみたい……