暗闇の鎌【読みきり短編集】
 付き合い始めは楽しくて仕方がなかったのに、慣れた頃に彼はそんなふうに言い出した。

突き放す態度やデートをドタキャンされたこともある。


その度に心がチクリと痛み、この目がますます嫌いになっていった。


「くすくすくす……

お姉さん、なにしているの? ショーウインドウに向かって眼を大きくしちゃって変だよ! おもしろーい!」


洋服店のガラス窓から眼を逸らし振り向くと、大きな目をした可愛らしい女の子が立っていた。


――幼い子だって、こんなに大きな瞳をしているのに私は……


「うるさいわね! 小学生はあっちへ行ってなさい! お姉さんは待ち合わせをしているの。ほら行った行った!」
< 50 / 118 >

この作品をシェア

pagetop